愛犬の健康は消化から!知っておきたい基礎知識
長年ペットフードアドバイザーとして多くの飼い主さんと接してきた中で、最も大切だと感じるのが消化の仕組みを理解することです。なぜなら、これが正しい食事選びの土台となるからです。
皆さんは愛犬の消化の仕組みをご存知ですか?
実は、人間とはまったく異なる特徴を持っているのです。そして、この違いを理解することが、愛犬の健康管理の第一歩となります。
私たちの愛犬は、オオカミを先祖に持つ肉食動物です。人間と暮らすようになって何千年も経った現代でも、その体の構造は変わっていません。歯は鋭く尖った形をしており、肉をちぎり、骨を砕くのに適しています。人間のような平らな臼歯はほとんどないため、植物性の食べ物を細かく擦り潰すことは苦手なのです。
また、顎の動きも特徴的です。上下の動きしかできず、人間のように左右に動かすことができません。これも、肉を裂くという動作に特化した証です。実際の食事シーンを観察していると、この特徴がよく分かります。愛犬は食べ物を横から噛むのではなく、上下の動きで食べ物を飲み込むように食べますよね。
さらに興味深いのが消化管の長さです。犬の消化管は体長の約6倍程度で、これは草食動物の約20倍と比べるとかなり短いものです。新鮮な肉類は消化が早く、長い消化管を必要としないためです。この短い消化時間のおかげで、食後3-4時間で栄養を吸収し、8時間程度で排出するという効率的なシステムを持っています。
消化の要となる胃酸にも注目です
犬の胃酸は非常に強く、pHは1-2という強酸性です。これにより、タンパク質を効率的に分解し、同時に有害な細菌も殺菌します。だからこそ、生の肉も消化できる仕組みになっているのです。
まず、良質なタンパク質を十分に含んだ食事を選ぶことです
ドッグフードを選ぶ際は、原材料の最初に良質な肉や魚が記載されているものを選びましょう。これは、愛犬の本来の食性に合った選択といえます。
給餌回数も重要です。1日2回の給餌が一般的ですが、これは消化時間を考慮した理想的な回数なのです。朝晩の適度な間隔で給餌することで、消化システムを効率よく働かせることができます。
また、水分補給にも一工夫が必要です。食事の前後30分は飲水を控えめにすることで、消化酵素が薄まるのを防ぐことができます。これは、多くの飼い主さんが見落としがちなポイントです。
日々の相談業務で感じるのは、この基礎知識を理解している飼い主さんとそうでない方では、フード選びの視点が大きく異なるということ。正しい知識を持つことで、愛犬により適した食事を選べるようになるのです。