【犬との生活を楽しむ】「かすがい」になった犬

犬とのコミュニケーション

犬は人の心がわかる動物といわれています。このストレス社会にあって、犬が飼い主の心を慰め、癒した例や、家族のきずなを深めた例は数え切れません。犬との生活がもたらす楽しみ、幸せを実例でご紹介します。

「かすがい」になった犬・・・忠之さん、佳子さんの場合

忠之さん(60代)は手広く事業展開していた実業家。けれども、経済不況の影響で事業のほとんどを手放し、自宅も整理して小さな借家住まいになったのです。

狭い家の中でいら立ち、人が変わったようにつらくあたる忠之さんに耐え切れず、奥様の佳子さん(50代)は、家を飛び出してしまいました。アパートでひとり暮らしを始めた佳子さんは離婚も考えましたが別れられない理由がありました。犬のラッキー(11歳)を忠之さんが手放さないのです。

人の悲しみを察して慰める犬の能力

ラッキーは佳子さんが大好き。佳子さんが泣いている時は、そっと足元に寄り添ったり、涙をなめたりします。二人が口論すると間に割って入り、顔を見上げて悲しげに鳴くのです。そんなラッキーを見ると佳子さんは切なくなって、別れる時は絶対にラッキーは自分が引き取りたい、と思うのでした。

「私たちが創造する以上に犬は感情豊かだし、人間の感情も理解しているような気がします」と佳子さん。

佳子さんは、犬の世話と散歩のために忠之さん宅に通い、日中は忠之さんの仕事を手伝って、夕方になるとアパートに帰るのを日課にしています。一時は深刻だった夫婦関係でしたが、最近は経済状態が上向いて生活にも余裕が生まれ、少しずつ、二人の間に会話が増えてきました。佳子さんは言います。

「私たちがやり直せるかどうかは、まだわかりません。でもラッキーと一緒の時は、主人も以前のように穏やかになるんです。ラッキーがいなかったら、私たちはとっくに壊れていたと思うんです」

 

出典・加工して作成:環境省「犬との幸せな暮らしハンドブック」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2103/pdf/full.pdf